都立入試2019国語(白洲正子)

 2019年2月22日に実施された都立入試国語で

白洲正子と大岡信の対談が出てきました。

 

 白洲正子の著作は少なくありませんが、読んだことがある

中学生は多くないと思われるので、いくつか、紹介したいと

思います。

 

 なお、全て、新宿区立図書館に収蔵されているものから

選びました。

 

1、『美しいもの』

  美術に関するエッセイ集で、飛鳥から源氏物語に及ぶ多彩な

  ものが並びます。

  テーマは、桜、石、水、木、椿、橋、器、蒔絵箱などです。

  「謎ときの楽しみ」は隠されたメッセージを感じ取ることの

  楽しさを例を挙げながら説くもので、味わい深いものです。

2、『かそけきもの』

   祈りに関するエッセイ集で、小林秀雄が槍投げを描いた文章から

  熊野詣に至るまで、筆が自在に走ります。

3、『縁は異なもの』

   これは白洲正子と河合隼雄の共著なのですが、対談の部分と

   2人がそれぞれ書いた部分があります。なぜ、この2人が

   1冊の本を上梓するに至ったというと、明恵上人の御縁だそうです。

   河井隼雄は湯川秀樹や梅原猛に明恵上人の『夢記』の研究をする

   ように勧められ、色々読んでいるうちに『明恵上人』(白洲正子』を

   読み、衝撃を受けたそうです。そもそもは、夢の解釈なのですが、

   白洲正子の折り目正しい解釈に驚いたようです。

4、『骨董夜話』

   これは雑誌『太陽』に連載されたものを1冊の本にしたもので、

   文章と写真で構成されています。白洲正子の狂言面から始まります。

   著者は次の通りです。

 

   白洲正子

   青柳瑞穂

   坂東三津五郎

   細川護貞

   土門拳

   平山郁夫

   谷川轍三

5、『西行』

   「そらになる心は春の霞にて

    世にあらじともおもひ立つかな」

   で始まります。

   西行が23歳で出家する直前の作のようです。

   白洲正子の代表作が何かは、色々、意見があるでしょうが、

   知名度で言えば、『西行』かなと思います。

6、『古典の細道』

  これは、倭建命、在原業平、小野小町、建礼門院、平維盛、

  花山院、世阿弥、蝉丸、継体天皇、磐之媛皇后、椎喬親王、東福門院

  などを題材に、書かれた随筆で、『太陽』に連載されたものです。

  編集者が執筆を依頼して、実現した企画だそうです。

  誰に、何を依頼するか、考えるのは編集者ので、素晴らしい企画の陰には

  素晴らしい編集者がいるのだろうと思います。

 

7、『器つれづれ』

  「伝統を背負っていく勇気のないものに、何で新しいものを生み出す力が与えられよう。」

  というのも、含蓄があるのですが、

  冒頭の「私は子供の頃から大名家の売り立てなどに連れていかれ」は、凄みがあります。

  

  大名家の売り立て

 

  もし、都立入試2019の縁で、この言葉に触れる中学生がいれば、

  素晴らしいことだと思います。

 

8、『お能の見方』白洲正子 吉越立雄

  人は、なぜ、お能を見るのか、著者は、そこから説き起こします。

  それは、演劇や舞踊にも通じます。

  お能に関する知識は、演者のものか、観客のものか、そのあたりの

  話も出てきます。

 

9、『観音巡礼』

  これは「著者」でなく「選者」と記されています。

  100観音を選ぶようにという依頼を受け、思案の末、63体を選んだそうです。